★鉄道の歴史は、日本の地方都市発展の歴史と重なります。特に鉄道の開通は、地域の産業、文化、歴史の変革への大きな原動力となってきたことは明らかです。
★しかし、交通の発展は、私たちがその変化を歴史の記憶に留めることをはるかに上回るスピードで進んできました。
★明治以降の地方発展史の上で、鉄道の果たしてきた役割とその産業遺産は、その発展と共に新しいものに生まれ変わり、現在ほとんど残っていません。
★鉄道の発達と共に、つい数十年前まで全国各地にあった地方都市とその周辺風景は、道路と自動車の発達によりその活気や風景がどんどん失われています。
★津山は明治期の中国鉄道開通に始まり、因美線、姫新線、津山線が交わる地方交通の要衝として発達した街であり、現在も美しい町並、自然風景が残っている地方都市です。
★JR津山機関庫は、現役の鉄道施設として残っている扇形機関庫であり、全国では13箇所しか残っていない非常に貴重な鉄道文化遺産です。そしてその規模は、梅小路に次ぐ2番目の大きさを誇り、その風景は非常に雄大であり貴重です。
★また、因美線には、開業当初からの駅舎が多数残っており、その美しい自然や沿線風景と相まって最も輝いていた地方の歴史がそのまま体感できます。
★産業と文化、自然と近代化、これらがすべて共有できると同時に、地方の個性がもっとも現れていた時代・・・津山機関庫と因美線の風景には、地方がもっとも輝いていた時代に果たした鉄道の役割が、当時の貴重な建築物と風景としてそのまま現代に残っている全国的にも貴重な場所です。
★同時に、歴史的価値、自然風景を冷凍保存ではなく、現役の公共交通機関としての価値観とともに、地域に根ざした形で次世代まで残してゆくことのできる場所です。
★岡山県近代化遺産総合調査(2003,2004年実施)において、津山地域では津山扇形機関庫をはじめ駅舎、橋梁、トンネル等19箇所の鉄道施設が岡山県の近代化遺産として選定されました。
★津山機関庫と同規模の機関庫としては、2006年京都の梅小路機関庫(梅小路蒸気機関車館)は国の重要文化財指定を受けています。
★津山機関庫では、DE501号機やDD511187号機の2台のディーゼル機関車が保存されており、鉄道資料などとともに一般公開(日時限定)されています。
★美作滝尾駅と因美線の風景は、山田洋次監督の映画「男はつらいよ」の第48作(最終作)のオープニングで映し出された風景であり、映画ファンにも知られた風景です。
★また、因美線はタブレット閉塞による急行列車(「砂丘」号)の通過風景が日本で最後まで残っていた路線であり、その沿線風景は今でも多くの鉄道ファンに愛され、映像や写真としても数多く残っており、今でも多くのファンが訪れています。
★2007年5月に鉄道ファンにより発掘された美作河井駅の転車台は国内でも最古級の40フィート型転車台であり、貴重な鉄道資産として専門家からも注目されています。
★津山機関庫及び美作河井転車台は、津山町並保存研究会(地元の建築士により構成された市民団体)により実測調査が行われ、その歴史とともに1冊の報告書にとして取り纏められました。
★2007年1月、「みまさかローカル鉄道観光実行委員会」が発足。津山機関庫や因美線を中心に地域の生涯学習の拠点としての活用、エコツアーの企画等としての活用や文化財登録等を計画中です。
2007.10.29作成
エコネットワーク津山
事務局長 松田信也